GREAT STARS制作インタビュー第2回

第2回「中村憲剛選手の制作エピソード」

ここでは、コンテンツ内では細かすぎてお伝えできなかったGREAT STARS制作に関するエピソードやウラ話などを、インタビュー形式にて余すところなく語らせていただいています。今回は、中村憲剛選手のサッカーフィギュア化企画の商品化に至るまでのエピソードなどをお伝えします。

憲剛選手フィギュア化のきっかけ

インタビュアー
インタビュアー
まず、きっかけからお伺いします。
当初、このフィギュア企画については、Jリーグ様を通じて各クラブ様からの反応をお伺いし、もし興味を持っていただければ具体的な提案をさせていただくという流れでした。とはいえ、サッカーフィギュアの制作実績はなく、あるのは数ページの企画書とありったけの想いだけです。コロナ禍で直接プレゼンをさせていただくことも難しい状況で、このままではクラブ様に興味を持っていただくことは難しいと考え、サンプルをつくることにしたんです。
代表
代表

インタビュアー
インタビュアー
サンプルですか!?
サンプルはフィギュアの原型です。これを見ていただければ、企画書の100倍伝わるのではないかと思ったんです。実際のサイズやクオリティが分かれば、興味を持っていただきやすいはずだと。
制作チーム
制作チーム
さらにパッケージのデザインもデザイナーが起こしてくれて、製品状態がイメージできるようにしました。
代表
代表
実は、居ても立ってもいられなくなり、勇み足で資料だけをお送りして反応をお伺いしたところ、幾つかのクラブ様から反応をいただけましたが、具体的な進展には至らずでした。
代表
代表
パッケージ案も色んなパターンを作りましたね
デザイナー
デザイナー
インタビュアー
インタビュアー
ちなみにサンプルはどの選手だったんですか?
ここでお見せしたいのですが、現在、ご検討をいただいているような状況ですので、改めさせてください。憲剛選手でないことだけは確かです。ひとまず、その時は実現には至らず、途方に暮れていた時期にJリーグ様を通じてフロンターレ様からお声がけをいただきました。10月の後半でした。
代表
代表

インタビュアー
インタビュアー
ついにオファーが来ましたね!

ただ、この時はオファーというよりも、まずお話を・・・という状況でしたので、期待を持ちつつも恐る恐る連絡を取らせていただきました。
代表
代表

最初に電話でやりとりをさせていただいたのが10月30日のことだと記憶しています。その時に、憲剛選手で考えていますと教えていただきました。これでまたテンションが上がってしまい、このご縁とチャンスを何とか繋ぎたいと思いました。
代表
代表

インタビュアー
インタビュアー
たしか、憲剛選手のバースデーゴールありましたよね!?
そうなんです、10月31日の試合はDAZNで観ていて、「やっぱりこの人は持っているな~」と思っていた矢先のこと、翌11月1日にYahoo!ニュースで引退することを知り、慌てて制作チームと連絡を取りあったのを思い出しました。「ヤバい!引退しちゃう!」、「今から作って間に合う??」みたいに焦りましたね(笑)
代表
代表

インタビュアー
インタビュアー
間に合わないかもしれないと!?
そうなんです、せっかくこのタイミングでお話をいただいたのに、間に合わないなんて残念すぎるじゃないですか。それで、とにかく直ぐにでもお打ち合わせの機会をいただきたいと思い、制作チームと共にフロンターレ様にお伺いしました。
代表
代表
インタビュアー
インタビュアー
なるほど、そんな経緯だったんですね。

ついに第1弾の制作開始!

インタビュアー
インタビュアー
川崎フロンターレさんの反応はどうでしたか?
実は丁度、お伺いする前日に、先ほど話した原型が出来上がったんですね。自分たちでいうのもなんですが、これがもうヤバいくらいの出来で。完全にコレクター目線ですが、これは欲しいわと。
制作チーム
制作チーム
今思うと、あの時、原型がなかったら、憲剛選手のお話もその先に繋がっていなかったかもしれません。確実に紙の資料よりも、良い反応をいただけたと思いました。写メも撮っていただき、これを内部で見せても良いかと言ってくださったので、本当にありがたい展開でした。これがあったことで、私たちの作りたいフィギュアのテイストが一発で伝わったと思いますし、認知されていない状態ではそれしか方法がありませんでした。特にフィギュアですから、やはり実際に見て、手に取っていただくのが一番良いなと。
代表
代表
インタビュアー
インタビュアー
とにかく話が進んで良かったですね!
そうですね!とにかく、時間がないことは分かっていましたが、「是非とも私たちに作らせてください」ということで、想いをお伝えしました。
代表
代表
インタビュアー
インタビュアー
ついに動き出しましたね!
実は私たちの中では、当時からコリンシアンライクというか、それはもうコリンシアンのそれを目指していたので、そのあたりの擦り合わせは色々とありましたね。

ちなみに、どの程度コリンアシアンを目指していたかというと、もし、実物を見ていただいたときに、コリンシアン復活した!?と一瞬でも思っていただけたなら、狙いどおり!というくらい寄せています。

代表
代表
インタビュアー
インタビュアー
やはりそこは譲れなかったんですね!?
ありがたいことに、担当社様も色々とアイデアを出してくださり、一番最初にいただいたのが憲剛選手のあの特徴的なキックポーズを再現できないかというものでした。
代表
代表
インタビュアー
インタビュアー
なるほど、よくシルエットでも見ますよね!
そうなんです。でも、そうなると選手毎にポーズの個性が出すぎてしまい、どちらかというとエポック社さんの旧シリーズのようなイメージになると思いました。

あのシリーズは私たちも崇拝してコレクトしているのですが、コリンシアンと一緒に並べると、どうしても不揃い感が出てしまうと思い、あくまでコリンシアンスタイルをベースにしたいと訴えました。エポック社さんの方が、圧倒的にクオリティが高かったんですけどね(笑)

私たちの中には、当時フットサークルで見たあの光景※が焼き付いていてしまって、どうしてもそれを目指したかったんですね。

※「あの光景」については、コリンシアンとの運命の出会いをご覧ください

代表
代表
特徴である猫背を再現できないかというアイデアもいただきました。
制作チーム
制作チーム
これは制作チーム内で持ち帰らせていただき検討したのですが、あのプロスターズのサイズ感だとバランスが崩れてしまうことが分かり、ご理解をいただきました。コリンシアンベース=GREATSTARSテイストとして認知いただけるよう浸透させていきたいと考えています。
代表
代表
インタビュアー
インタビュアー
なるほど、ベースの部分でのこだわりが強かったんですね。
そのかわり、最高に似ているフィギュアを作ります。とお伝えしました。憲剛選手の特徴を最大限引き出すために、細部も余すところなく再現させていただきたいですと。
代表
代表
インタビュアー
インタビュアー
具体的なこだわりポイントはどんなところでしたか?
まず、すきっ歯は表現したいとお伝えしました。正直、人によっては表現を避けて欲しいということもあると思ったのですが、悪意なく良い感じに再現してくれればと快くOKをいただきました。思えば、暖簾とかスリッパとかすきっ歯を面白おかしく活かしたグッズ化がされていますしね(笑)

あとはユニフォーム、シューズ、ボールにもこだわりたいとお伝えしました。

制作チーム
制作チーム
訪問終了後、1、2時間も経たないうちにシューズの再現OKの旨をメールでお知らせいただいたのを鮮明に覚えています。しかも早い!小さなことかもしれませんが、これは大分テンション上がりました。

シューズと言えば、制作からは逸れますが、天皇杯決勝時に話題になったエピソードは最高ですよね。2004年から引退までの約17年モレリア2を履き続けた憲剛選手に対して、ミズノ社が敬意を込めて「ありがとう、Mr.MORELIA 中村憲剛。」というタイトルで公開したyoutube動画があります。なんて素敵な笑顔をする人だろう・・・と、何度見てもホロッときてしまうんです。ヤバい、もう30回以上見ちゃいました(笑)

代表
代表
それと、今回のフィギュア制作のためにあらゆる角度から撮影をいただいたり、憲剛選手ご本人もそれに応じてくださったことは、大変ありがたいことでした。これが造形の参考になり、つまりクオリティに繋がっているんです。
制作チーム
制作チーム
ただ、ボールについては当初、トライしたかったJリーグ公式球の再現には至りませんでした。これには更にメーカー様との協議や、使用料なども絡むこと、そして何よりスケジュール的に難しいと判断し、悩んだ末に断念しました。
代表
代表
とはいえコリンシアンのバレーボール!?を再現してしまうと、GREATSTARSではユニフォームやシューズがリアルな分、アンバランスになると考え、クラブのエンブレムを使わせていただくことになりました。
制作チーム
制作チーム
インタビュアー
インタビュアー
制作上、苦労したところはどんな点ですか?
間違いなく、憲剛選手の特徴を引き出す原型工程ですね。
代表
代表
これで全てが決まってしまいますからね。原型師とは、想像を絶する試行錯誤の連続でした。そして原型の微調整は販売期間中も数回に渡っています。
制作チーム
制作チーム
髪の毛の表現には最後まで苦労しました。製作時の最新の憲剛選手に的を絞り、毛の流れや特徴的な襟足のシルエットなど、忠実に落とし込んでいます。
原型師
原型師
インタビュアー
インタビュアー
ちなみに、そのアイコンは誰ですか?
ゲオルゲ・ハジです。バチバチのアメリカ大会世代でして・・・
原型師
原型師

ね、年代が・・・
インタビュアー
インタビュアー
販売までおよそ1.5ヶ月というタイトな製作期間でしたので、昼夜問わずリアルタイムで意見交換を徹底的におこないました。原型師ひとりの腕では取りこぼしてしまう部分も、制作チーム全員の目線を介することで、何とか実現できたと思っています。
原型師
原型師
販売までこぎつけた現在は、さながら某精神と時の部屋から出てきた気分です(笑)
原型師
原型師
やはり年代が・・・
インタビュアー
インタビュアー
インタビュアー
インタビュアー
そういえば、パッケージも凝っていますね!?
随分、色んなパターンを作りましたね。最初はこんな感じ(左)でした。
デザイナー
デザイナー

ユニフォームの要素を2つの色で構成するというものでした。まだ星が3つの時ですね。
デザイナー
デザイナー
個人的には、当時、コリンシアンの正規日本代理店だったニューウェーブさんが出していたJリーグシリーズのものが最高に格好良くて、あのHOMEとAWAYで台紙が違うところとか、あんな感じのパッケージにしたいと思っていました。

ピンクの枠にはJリーグロゴを入れたかったのですが、ボール案にしたがって断念しました。

代表
代表
ちなみに、この台紙のサイズもコリンシアンとどんぴしゃサイズで、上の引っかける部分も全く同じです。ただ、コリンシアンにはカードが付属していて、右側もブリスターが続いていたのですが、カードだけは私たちにとって重要ではなかったため、そこだけは引き継ぎませんでした。
代表
代表
話は逸れますが、それならと、台座も完全再現することにしました。刻印の書体もほぼ同じで、相当探し回りました。そしてなんと、台座の裏面も再現しています。これはコレクターの方でもそんなにじっくり見たことがない箇所だと思いますが、それはまた別の機会に発信したいと思います。
制作チーム
制作チーム
インタビュアー
インタビュアー
なるほど!こだわり具合というか、こちらまでその熱量が伝わってきました。

そして販売開始へ!

インタビュアー
インタビュアー
ついに販売になりましたね!
おかげさまで、なんとか。ただ、受注生産なので作るのはこれからです。まだまだ道程は長いです。それにお届けが6月なので暫くはお待たせしてしまいます。
代表
代表
インタビュアー
インタビュアー
とにかく、売れると良いですね!
ほんとにそうですね。Twitterでも広告を配信したりして、一人でも多くの方に知っていただければと思っています。販売期間は2週間と限られていますが、(販売開始後に)おかげさまで皆さまからも「似ている」、「継続を」といった大変ありがたいお言葉を多数いただいています。お一人お一人のコメントが相当な励みになっています。
代表
代表

これからの展開について

インタビュアー
インタビュアー
ちなみに、今後の展開などは考えているんでしょうか?
もちろん続けることが最大のテーマと考えていますので、色々と検討はさせていただいています。
代表
代表
インタビュアー
インタビュアー
差し支えなければ、具体的に教えてください。
まだ第1弾憲剛選手フィギュアの販売期間中なので、詳細についてはお伝えできる状況になり次第、改めてお知らせいたします、すみません。ただ、ここまで読んでくださった方に向けて少しだけお伝えしますと、幾つかの可能性を探っていることは間違いありません。毎年、スター選手が引退していってしまうので、ご縁があるかは別として、一方的に焦りのようなものもあります。
代表
代表

そして、その純粋に続けたいという気持ちと並んで、続けるためには、やはり売れなければいけないということもジレンマとして痛感しています。
代表
代表
インタビュアー
インタビュアー
それは本当に悩ましい部分ですね。
今できることは、そのためにこだわり続けること。それを沢山の方に知っていただくこと。どんなメジャーなものでも最初は一からのスタートで、軌道に乗るまでが大変ですしね。必ずや次に、その先に繋げます。
代表
代表

終わりに

インタビュアー
インタビュアー
終わりになりましたが、最後に一言お願いします。
「中村憲剛」というまさに川崎フロンターレの偉大すぎるレジェンドを制作させていただくにあたり、彼のことを知れば知るほど、如何にクラブやファン、街中から愛されて来たかが分かりました。

象徴的だったのは、DAZNの特集番組の中での伊藤宏樹(元フロンターレ選手・現フロンターレスカウト)さんのコメントで、彼を指して「(彼が)街の景色を変えた」という部分です。クラブと地域が一体となった懸命な取り組みもあったと思うのですが、これはJ2時代から引退までをクラブと共に歩み続けた憲剛選手がいたからこそ成し得た壮大かつミラクルな物語だったんですね。

正直、このご縁をいただくまでは知らなかったことばかりですが、制作を通じて憲剛選手のあらゆる背景に触れることができ、都度感動をいただきました。なにより「世界一幸せなサッカー選手」を第1弾として制作させていただけたことは、私たちにとって、これ以上ない幸せなできごとです。

代表
代表
私たちの想いとしましては、フィギュアやコレクションというものが、人との出会いやご縁を生んだり、他人に関心を持ったり、他人をリスペクトするきっかけに繋がるのではないかと考えています。直接会うことのない偉大な存在に対しても、毎日顔を合わせる身近な存在に対しても同じです。自分の中でそういう対象が少し明確になるだけで、ちょっとだけ他人にも優しくなったりできる気がして。

表向きはクオリティを追求した商品には違いないんですけれど、根底にはそういうものがあると思うんです。ひょっとしたらそれは、フィギュアならではの付加価値なのかもしれません。GREATSTARSをそういった感動やリスペクトを伝播させる定番グッズに育てていきたいですね。

代表
代表
インタビュアー
インタビュアー
なるほど、深いお話ですね。
最後になりましたが、ここまで来れたのは、デザイナー、原型師、そしてウェブマーケティングを含む制作チームのおかげはもちろん、当初、私たちにお声がけをいただき、企画の打ち合わせ段階から一緒になってアドバイスやアイデアをくださった川崎フロンターレグッズ担当の小山様には感謝の気持ちでいっぱいです。

素材のご提供や憲剛選手ご本人ならびにクラブ内でのご調整など、度々のサポートをいただき、おかげさまで形にすることができました。

また、当時フィギュア実績がなく、想いだけだった私たちを信じてくださったことに、この場をお借りして感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

代表
代表
そしてこの長いページを最後までお読みくださり、重ねて感謝申し上げます。
代表
代表

 

制作インタビュー第1回「シリーズタイトルについて」を読む

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